◆飼い主にしかできないこと

ある飼い主さんが、飼っているフェレットにジステンバーのワクチンを打ってもらおうと動物病院に行きました。犬の場合でも致死率の高いジステンバーにフェレットが感染すると、現代獣医学ではほぼ100%助かりません。
そのことを知っていた飼い主さんだったので、それまではきちんとワクチンを打ってもらっていました。

ですが引っ越した先で連れて行った病院の獣医師は『もうジステンバーなんか出ないから』といって打ってくれませんでした。
その後地元に戻ってすぐフェレットちゃんの様子がおかしくなり病院に連れていったところ、ジステンバーに感染していることがわかりました。(これは実例です)

飼い主さんは自宅で看ると言い、連れて帰ったそうです。
ワクチンを打たなかった獣医師は、親切で『いらない』と言ったのか、もしくは病院にフェレットに使えるジステンパーワクチンがなかったのか、フェレットに認可されているワクチンがないためにトラブルを避ける目的でフェレットにはワクチン注射をしていないのか・・
確かなこたえはわかりませんが、飼い主さんの胸中はきっと後悔と涙でいっぱいだったことでしょう。

獣医師は医者である以上、基本的なミス、手抜きがあってはなりません。
驕った目線で治療にあたるのも間違っていると私は思います。
真摯に医療の向上を目指し、日々努力をしていただきたいと願ってやみません。
ですがここで考えていただきたいのは、ペットにも個体差があるということ。
どんな病気でも個体差は免れません。
同じ疾患でも、同じ治療効果が現れるとは限らないのです。
無事回復できるに越したことはありませんが、もし救えなかったとき、飼い主はどう思うでしょう。

どんなに素晴らしい先生でも、救えないケースはたくさんあります。
それがミスによるものなのか、精一杯尽くしての結果なのかを判断するためにも、(繰り返しになりますが)疑問を感じた時は説明を要求してください。
飼い主は説明を聞く努力を、獣医師は可能な限りの情報を開示して、よく話し合うことが大切だと思います。
また、わからないことやできないことをはっきりと言う獣医師を冷たいと判断するのは早合点かもしれません。
わからない、できないと言われた時点で他の病院をあたるなりセカンドオピニオンを仰ぐなりの方法が取れるので、知ったかぶりをする獣医師よりむしろ良い獣医師なのではと思います。

病気や怪我ではなく、健康診断や爪きり、歯切りなどでもでトラブルに巻き込まれる場合があります。診察台からの落下への不安、爪きりや歯切りの際の危なげな手つきや器具への不安を感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
なぜ、どうして、とならないようにするためには、感じたことを獣医師に伝える勇気、努力が必要です。

私が過去愛読させていただいていたサイト様にこんな記事がありました。

『歯切りのとき、誤って口の中を切ってしまった獣医師に対し、器具の見直しをするよう伝えた。 獣医師は前向きに取り組んでくれたが、やはりどうしても医療器具内での選択をしてしまう。 だから私の思う器具(どこの家庭にもある生活用品です)を提示したところ、こんな使い方があったとは 知りませんでしたといって喜んでくれた。 このやりとりをしてる間はむかつくことも多かったが、この一件で、より強い信頼関係が築 けたと思っている。 この獣医師は今もなおこの器具を使用してくれている。』

医療は医師側の責任だけでなく、医師と患者(動物の場合は飼い主)がそれぞれの責任を自覚してはじめて納得のいく選択ができるのではないかと考えます。
愛する家族を守るために飼い主にできることは、専門分野外でもたくさんあるのです。
いえ、これらのことは飼い主にしかできないことなのです。


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